魔法にかけられたい

何かで予告編を見て、(私の嫌いなディズニーアニメにも関わらず)「すっごく観たい!」と思ったこの作品

魔法にかけられて 2-Disc・スペシャル・エディション [DVD]

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ものすごく面白かったですね。
あのね、これは非モテとか言ってる人が見るべき映画だと思う。
一番素晴らしいのは
「デートとは何か」
という定義がされていること。
というのは、このおとぎ話の国のお姫様は「デート」が何たるかを知らないからです。


そう、おとぎ話の世界ではデートなんてありません。
お姫様は主に下働き(家事)をしたり、眠ったりしながら、王子に見染められるの待つだけの日々。
そしてある日突然、王子が目の前に現れ、お互いにひと目で恋に落ちるのです。
王子は姫のルックスが好みだから好きになるし、姫は王子が自分を不遇から救い出してくれる人だから好きになる。
今更言うまでも無いですが、典型的なジェンダー問題満載なのがおとぎ話なのです。


なので二人はデートなんてする暇もなく、あっという間に結婚してしまいます。
そして物語は突如「二人はいつまでも幸せに暮らしましたとさ」で終わります。


さて、話を戻して、「デート」とは何でしょうか。
この作品の中では「一緒にレストランでご飯を食べたり、映画を見に行ったりしながら、お互いについて話をすることだよ。」と説明されます。
「話をする?」
お姫様はこの時点でキョトンなのです。こりゃおもしれー。
なので男(ここではNYに暮らす子持ちバツイチ弁護士)はデートでする会話を説明します。


「お互いのことだよ・・・好きなこと、嫌いなこと、興味があること」


そういうことですよ。デートっていうのは。
あのね、女性とあんまり接したことが無い男性はコレが出来ないじゃないですか、会話が。
会話ってこんな単純なことなんですよ。
酒井冬雪化してるな、私。)


でも、コレだけじゃないんですよね。


物語はさらに切り込んでいきます。
二人は夜、レストランで食事をします。
お姫様は「これがデートね!」って言います。
男は「そう!・・・いや、これは違う。僕たちは友達だから。それに今日はコブつきだし。」と予防線(笑)
その中で、男はこれまで誰にも話したことが無かった深い心の傷について話します。
つまり男が最初に説明し切れなかった「デート」の会話における決定的なことを、ここで説明してる訳です。


「キモチについて話す」

そう!デートってコレですよ。コレが必要なんです。
好きなこと、嫌いなことなんて、それこそ会社の同僚とのランチでも話します。
ハマってるアニメやゲームやガンプラやガジェットのディテール話したところで、それじゃデートとしては完璧じゃないんです。
女性が求めてるのは、もっともっと抽象的な話。
男性が最も苦手とする分野かもしれないけど、本当に聞きたいのはそんな話なんです。


もちろんこの会話がきっかけで、お姫様は男のことを好きになってる自分に気づくのですね。


他にもこの作品には寓意的なエピソードがいくつも出てきて、「本当は怖いグリム童話」の様相を呈していますが、後半はムダな(子供向け?)悪の女王とのバトルがあったりしてメタメタですけど、前半はホント面白いです。


それにしても最近のハリウッド映画は、主人公or主人公の惚れる男ってのが、ほぼ100%「バツイチ子持ち」ですね。
SATCのMr.ビックが「コブ無しバツイチ」だったのが、逆にあの物語を象徴してる気すらしますね。
(そんな好条件の「理想の王子」はリアルにはいないっていう意味で。)