頭が良くて男前という存在がありえる世代

あけましておめでとうございます。

正月に昼夜逆転した生活のおかげで、偶然にも夜中に「新世代が解く!ニッポンのジレンマ」という番組を観ることが出来ました。

内容自体も、昨年一年間私が抱えていたモヤモヤとモロかぶりだったし、何よりも私が今もっともはまる男前*1猪子寿之が出てたのが嬉しかったねぇ。

猪子寿之

正月から男前を観られて、テレビの前でニタニタしておりました。
ずっと猪子だけしゃべっててくれたらいいのに。
頭がグリースでテラテラしたのび太*2とか、いらないから。
アムウェイの女*3とかホント、しゃべらなくていいから!


一番面白かったのがね、のび太が「猪子さんは何で就職しなかったんですか?就職しなくて不安じゃなかった?」というようなことを質問した時。
それに対して猪子さん(以下、男前)が「だって、弥生時代に、農業覚えなきゃいけないときに、縄文時代の狩りの仕方とか覚えても仕方ないと思ったから。」って言ったとき。
かっこよかったねぇ。
実際のところはほとんどの人には当てはまらない話だけど、あぁいう風にずばっと男前顔で言いきられちゃうと、やーん、ついてきます〜ってなるよね、女は。
それに対して、のび太が「僕は学生時代にマルクス資本論を読んで、労働者というのは搾取される存在だと知ってうんぬんで、だから実際に搾取される労働者として資本主義を経験してみようと思って就職しました。」みたいな超くだらない話を始めて・・・アレかっこ悪かったなぁ。
言ってることはすごくわかる。し、実際に普通の人が普通に歩いていく道は99.8%、それしかないと思う。
だけど、彼の発言は「あぁこの人の本って、読む価値ないだろうなぁ」と思わせるのに十分、面白くなかった。
ちょっと可愛そうだったけどね。
なんか、天才と凡才の違いを、画面の前で残酷に鮮やかに、切り取られた感じだったな。


私達はネットの世界のスピード感や情報の集め方にならされすぎてしまって、常に新規で珍奇なものを強烈に欲しているからね。
0.01秒の待ち時間が耐えられないほどにストレスに感じる。
もう新しい知見が得られないものを読んだり聞いたりしたくないんだな。
どうでもいいことは、どこかで聞いたような話には、もう飽き飽きしてる。
誰でも知ってるようなことを、したり顔で語られたりすると(「起業、起業っていけど、起業の大半は普通の飲食店や土建なんでえすよ。大半が3年以内に廃業するんですよ。」みたいな。はいはい、「〈起業〉という幻想 」ですね。とか。)「うざっ」と思う。
(で、それに対する男前の反応も良かったなぁ。「それは平均でしょ。平均の話なんかしても仕方ないの。」みたいなこと。つまり、例え大半の人が廃業する起業であっても、その中の1%か2%がイノベーションを生み出すことにこそ起業の意味がある、みたいなことを言わんとしてたんだけど、まぁ彼の立ち位置からしたら、まさにそうだよね。)


しかし最後の方はやっぱり眠気に勝てなかったな。
結局この番組が、何に向かって討論してるのかさっぱりわからなかったから。
格差をなくしましょうという話なのか、格差社会の中で下層階級の人間が生き延びる方法なのか、中上層の人間がより働きやすい環境を目指す方法なのか。
目指すところがわからないから、それぞれの人がそれぞれの立場で思いついたことを話してるだけという印象。
そんでアムウェイが「私は特別じゃないんです。私は人のつながりに助けられただけです。SNS万歳!評判経済!アフィリエイト!円天!」(←脚色あり)とか言ってちゃんちゃん、みたいな。


これ観ても、下のヒトたちからしたら、才能に恵まれた人たちの豊かな世界の話ですね、って感じだろうし。
下の人が直面してるのは、正社員になれない、まともな職業経験も積めない、未来が見えない、という絶望感。
一方、とりあえず正社員に滑り込んだ人の悩みは、「自分らしい生き方」と「金」「欲」「安定」との折り合い、もっといえば、今の会社にしがみつくしかないという閉塞感。
両者の悩みはともに同じ時代に存在するものだけど、全く違うジャンルの話だ。
だけど番組はどちらにも焦点を定められないまま、だらだらと続いてた気がする。


そして、多分、思うに、結構多くの人がその両方に属していて、両方の悩みをもってるんじゃないかと思うのだ。
やっとこさ正社員になったとしても薄給で仕事は面白くなく、
かといって仕事を選べるほどの才能もなく(男前が「副業をすればいい」と言ってたけど、副業が出来るほどの手に職がある人間ならさほど未来を思い悩んだりしないし、そもそも思い悩んでる時間もない。)、
かといって食べる為なら何でもやりますという中国のヒトみたいな生命力もない(やっぱり仕事をどこかで選んでいる)、
とはいえ出来ることなら仕事で自己実現したい、せめて自分のありたい姿とブレない働き方をしたいと思っている・・・みたいな感じなんじゃないかなと思うんだけどね。
だからこそ、番組もどっちにもつかない形で進まざるを得なかったのかもしれないけど。


あとどうでもいい雑感として、やたら舌のまわる昔の宮台みたいな男*4が、尺をとってペラペラしゃべるのが鬱陶しいことこの上なかった。よくしゃべるのに中身が何にもないから。編集者にありがちなパターン。青井、もうちょい仕切れよ。
ついでにいえば、西條とかいう早稲田のMBA講師とかいう人物が、頭の回転がトロイのかよくわからないが、毎回あさっての方向にもっていく話をNHKの編集が容赦なく途中でぶった切ってたのが笑えた。


最後に、出演者の9割が自分より年下というのも、あぁ年をとりましたねぇと思わせられる年初でございました。
(ちなみに、このエントリを書いたのは、男前のYoutubeを張り付けたかったからです(笑))


おまけ

アムウェイと男前の対談
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33023
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33246
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33283

男前が日比野克彦にちょっといじめられるとこが萌える


〈起業〉という幻想 ─ アメリカン・ドリームの現実

〈起業〉という幻想 ─ アメリカン・ドリームの現実

僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか? (星海社新書)

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*1:といっても存在を知ったのは数日前

*2:小暮太一

*3:安藤美冬

*4:宇野常寛