ダイエット本と恋愛マニュアル

世の中には不思議な商売があるもので、先日、まだ結婚してない人が書いた「結婚(に至る恋愛)マニュアル」というものの書評を目にした。*1


いつ頃からだろうか、ananがファッション特集号より恋愛特集号の方がはるかに頻度が高くなり、本屋の一画に「恋愛マニュアル本」「女性向けセルフヘルプ本」コーナーが出来てしまうほど、世の中に恋愛指南書が増えた。
今から遡ること20年ほど前のバブル時、マニュアル化したデートコースしか用意できない男性を揶揄する風潮があったが、今や女性も恋愛マニュアルちゃん時代である。


しかし、恋愛って普通に考えたら十人十色。
それを証拠に、大抵の人は「友達の作り方マニュアル」なんて本は読まない訳で*2、同じ人間関係でも、こと恋愛だけが過剰にマニュアル化せざるを得ない現状というのは何なのだろう。
ましてや結婚相手の見つけ方のような本っていうのは・・・。


というのも考えてみても欲しい。
オリンピックで金メダルをとったり、東大に入ったりするのとは訳が違う。
結婚相手というのは、客観的に見た際にその商品の市場価値は、値段があってないようなものなのである。


「いや、でもカッコイイとかお金持ちとか頭いいとか次男とか色々あるじゃん?」
それは確かに本人に付属する価値としてそういう客観的な事実はあるけれども、じゃあその一般的に市場価値が高いとされる条件が全て揃っている男性が、本当に結婚市場の中で最も価値の高い商品と言えますか?
(それを無理やり言ってしまうのが「結婚相談所」なのだが。)
商品は「人間」なのである。
君たちが大好きな「世界にひとつだけの花」なんじゃないですか?って話だ。


にも関わらず、
「私はこうしてこれを手に入れました。だからあなたもこうすれば同じものが手に入ります!」
って言われて、宝物の泥団子をじゃじゃーんと出されてもなぁって話。
かわいい子供相手なら「おいちいねぇ・・・やむやむ」なんて出来るけど、この場合はいい大人の男や女である。
結婚式に出席して初めて対面する知人の結婚相手を「おぉ」って思う頻度ってどのくらいあるだろうか?
大抵は「ほうほう」って感想じゃないか?


つまり、世にはびこる結婚マニュアルって、あなたに書けるなら誰にでも書けるだろう、の世界なのである。



説得力の無い本といえばもうひとつ。
今も昔も、女性の悩みのナンバー1が恋愛(結婚)、ナンバー2がダイエット。
そしてこの先にあげた結婚マニュアル本とダイエット本ほど、出したら最後、後々まで気を抜けない類のものはない。
リバウンドとの戦いとなるダイエット本は今更言うまでも無いだろう。
あぁいうのは鮮度の高いうち(すなわちリバウンド前)にとっとと出して、後は他人のふりをするに限る。


忘れてはならないのが、幸せな結婚生活指南書玉の輿の乗り方について書いておきながら本人は離婚・・・というケース。
おそらく一番有名なのは、世界中で一世を風靡した「ルールズ」の作者が離婚しているという事実であろう。*3
どんな壮大なコメディだよと言いたい。



というわけでこのエントリーを書き始めたきっかけを忘れそうになったが、つまり私が言いたかったのは


「ジャンク債をまとめてパッケージして売りつけるCDOと結婚相談所って何か似てない?」


てこと。


ちなみに最初のリンク先の「結婚相談所やお見合いパーティーのような流動性の高い市場においては男女の価値は低いところで均衡する」というのは非常に面白い分析だと思う。

*1:あとこんな人も

*2:最近は友達づくりもマニュアル化の需要が拡大しつつあるようにも思うが。

*3:そして、「ルールズ」を一躍有名にしたのは、故ジョンジョンと玉の輿婚したキャロライン・ベセット嬢がこの本を読んで実践していたという噂だが、キャロライン嬢はある意味その結婚相手のせいで若くして命を落としたのもまた皮肉である。