結婚できなくていいですか?(世界一なら)



なでしこが世界一に輝いた祝日の朝、なでしこ一色のTVを仕方なく見てたら、フジが澤選手の母親に電話インタビューをしていた。


一通りの「そんなもん、本人に聞けよ」みたいなグダグダなインタビューの後で、ゲストに来てたどっかの女優が
「ところでお嬢さんはお年頃ですが、結婚のご予定は?」
みたいな質問を投げた。


・・・なんたる失礼な質問。


澤選手のお母様は冷静に「特にそういう話は無いです」と答えていた。


真面目に答えるだけでも偉い。
本来ならキレても許されそうなものだ。


私のこの静かな怒りを、しかしどこにもぶつけようがなくイライラしてたら、どうやら似たような内容のインタビューが繰り返されていたようで、それに対するtwitter上の発言をyucoさんがTogetterでまとめてくれていた。


http://togetter.com/li/163851



私が、いや、私達女子が「余計に」悲しいのは、その発言を同性が口にすることだ。


それは一見、日常会話の延長の、下品な他人のプライバシーに対する好奇心でしかないかもしれない。


だが決してそんな単純な話ではないのだ。


女子は、「女」である間、ずっと男子、いや、社会から言われ続ける言葉がある。


勉強出来ても、「でもブスだし」。
スポーツできても、「でもブスだし」。
仕事出来ても、「でもブスだし」。


ブスであることは、全ての価値をゼロにする。
ゼロに何を掛けてもゼロ。


そしてブスであることは、イコール男に性的対象として求められないということであり、結婚出来ないということであり、つまり子孫を残すという、女として最大、いや、唯一の義務を果たせないということである。


上記のインタビュー発言の背景にあるのは、


「次はいよいよ、(手遅れにならないうちに)、本来の仕事である母親業にとりかかる番ですね」
というプレッシャーである。


もっと言えば
「世界一とか言ったところで、あなたは女としての仕事をしていないんだから、大したもんじゃないですよね」
という暗黙の非難、そして、「それをしてる私」の勝利宣言だ。


酒井順子が「負け犬の遠吠え」を書いてから早10年以上、笑っちゃうくらい何一つ状況は変わっていない。


ところで上記のまとめに対し、


まあ、サムライジャパンがワールドカップで優勝したら、選手全員に「で、結婚は?」と聞き、選手の母親に「料理は? 結婚は?」って聞くらしいですから、その時を待ちましょうか。
moriteppei




という皮肉コメントがあったが、その質問自体は意味を持たない。


それに対してはAntiSepticさんのex切込隊長に対する一連の鋭利なディスの中に的確な指摘があったので引用させてもらう。


@kirik 男性スポーツ選手に向けられる恋愛や結婚観に対する質問の中身は「偉業を達成した男はさぞかしイイ女をゲットできるでしょ?」。他方、女性スポーツ選手に向けられるそれは「そんなことしてて恋愛や結婚は出来るの?」に他ならないw




所詮、価値ゼロの女の遠吠えであるが。