栄枯盛衰

久しぶりだからこそ、変化に気づくことがある。
先日、久しぶりにレコード屋に行った。
レコ屋といえば、昔はそれこそご飯を食べるくらいの頻度で(おおげさ)通っていた場所。
今じゃその地位はブックオフにとってかわられてるので、WAVEがBOOKOFFになるというのは、私的には正しい変体(笑)


そこで音楽業界の滑落をまざまざと見せつけられましたね。
誰かも書いていたが、今や音楽は若者のモノではないのだ。
昔は宇田川町あたりのレコード屋さんには、非モテ女子の私なんかからしたら垂涎モノのオトコマエがホイホイ吸い込まれてったもんだ。
首にDJサイズのヘッドホンとかかけてね、何で街歩きにそのサイズ?肩凝らない?とか心ひそかに突っ込みつつ。


それが今じゃ、レコード屋にいるのは、大概がジジイですよ。
それもかなり年季の入った、大学生くらいの息子がいそうなおっさん。
たまに若者がいても、明らかに周囲から浮いてて人生辛いんだろうなぁ、頑張れ、もうすぐ楽になるぞ、と言ってあげたくなるような顔色悪い男の子とか。
若ぶってるけど実は君結構いってるよね、大学時代がオレの黄金期、平日の俺は世を忍ぶ仮の姿って思ってるでしょ?と言いたくなるような30前後の男子とか。
(このパターンのなれの果てが前述のおじさん。)


と中年クライシスな私に言われたくもないでしょうが。
自分が愛聴してたミュージシャンの7インチが10円で売られてたのは泣ける・・・でもむしろ、「あ、まだあるんだ」という喜びでもある(笑)
ほとんどモノマネ歌合戦の「ご本人登場!」並の、「あの人は今」的懐かしさで盛り上がる為のグッズとして置いてあるだけじゃないかと思うほど。


そんで、そこにいる自分自身、欲しいものが何もないんだよね。
あ、このレコード聴きたかったやつ!とか思っても、「でもなぁ、ネットに落ちてるかもしれないしな」と思うと、2千円も払って買う気にならない。
マニアに言わせたら、MP3なんて音が最悪、やっぱりCDで欲しい(byジョンせんせい。品質にこだわる男ジョンは、最近はブルーレイマンセー!らしい。)と言うが、正直持ち歩きでしか音楽を聴かなくなった私なんかには、最初からMP3になってるネット音源の方がはるかに便利。
こりゃ音楽業界、大変だよね。


私が大学卒業する頃、レコード会社に就職した人とか、本気で羨ましかったけど、今となっては「大変だろうけど頑張って。モノより思い出。」って感じである。
でもあの頃はこんなことになるなんて全く想像出来なかったのだ。
先見の明が無いと誰が責められよう。


その時、店内で流れていたCOLDPLAYの切ない歌声にしみじみと聴き入っていた私は、ふと気付く。
「クリスって嫁がグィネス・パルトローなんだよな・・・」
その途端にちょっと興ざめしてしまった。
所詮、唄ってる人間はセレブで超勝ち組で嫁はブラッド・ピットのモトカノで・・・その彼にオーディエンスは何を託してるのだろう?
私は何を託していたんだろう?
人生丸ごと託してしまった人たちを、自己責任と切り捨てられるだろうか?


・・・これからも頑張って彼らのお給料を稼いであげてください。