BOOKS:\999 / フレデリック・ベグベデ

フランスのアメリカ系広告代理店に勤めるオクターヴの「いかにして上手く人生ドロップアウトするか」のドタバタドラマ。
広告屋の小説らしく、賞味期限が短い。
10年したらこの世に存在しているかも微妙。
それはそれでとっても21世紀的。
あと言葉がシャレてる。
説明するより例示した方が早いね。
例えば。
(1)オクターヴがインターネットのサイトデザインに乗り出したコピーライターと交わす会話。
「言わせてもらえば、この業界、80年代さんざん大衆に飽きられ、90年代ではすっかり時代遅れのように思い込まれ、00年代ネットについていけない。いまだかつてこの業界がパワフルだったことがあったかよ!」
「e-うむむ。e-ちょいとe-ダべりすぎたかな。サイバーカフェ行ってメールチェックしてこないと。ほんじゃね、e-チャオ」
「バイバイ.com!」
(P272)
(2)別れた彼女からのメール。
「人生はかくのごとく過ぎてゆく。生まれて、死ぬ、その二つのあいだで、あなたは腹の痛みを感じるの。生きる、それは常時、お腹が痛いということ。15歳のときお腹が痛いのは恋を知るから。25歳、将来を思って不安になるから。35歳、お酒のせい。45歳、働きすぎ。55歳、もう恋ができないから。65歳、過去を思って不安になるから。75歳、広がった癌のせい。」
(P293)
ストーリーもなかなか痛烈。
今年読んだ本の上位ランキング入り間違いなし。