時間よ止まれ!

先日、本屋で。
雑誌の平積みの山の上の、首すじの「むっちり」をモノともせず、一際輝く笑顔を浮かべた女性に引き寄せられるように手にとってしまいました。


これこそが噂の「美STORY」。


すごいねぇ。
見てはいけないものを見てしまった感じ。
まるで「まんがニッポン昔話」に出てくる、山奥の一軒家で留めてくれたおばあさんが夜中に包丁を研いでる後姿を目撃してしまったかのようなホラー。


「STORY」は40代をターゲットにしてると思ってたのですが、こっちはもう少し裾野を広げて30代後半アラフォーもしっかり狙ってきます。
うわ、みんな頑張ってるね。
でも私が男なら超萎えるだろうなぁ。
なんというか、電車で化粧する女の子を目撃した感じ?
やっぱりさぁ、鶴は機を織ってるところあんま大っぴらにしない方がいいってことね。


気づいたんですけど、「美STORY」にしても「STORY」にしても、大抵「大学時代の私」なんていう写真がついてるんですよ。
つまり彼女達の心の叫びはこう。
「私はこんなに細くてかわいいかったの。今は世を忍ぶ仮の姿。努力して”元の”私に戻るわ!」
そんな信仰めいた信念に貫かれてる気がする。


あの頃こんなに輝いてた私、バブってた私、アッシーメッシーみつぐにも不自由しなかった私、SSサイズが楽に入ってた私、ほうれい線もセルライトも、ついでに妊娠線も無かった私よもう一度!


ってな感じでしょうか。
ご苦労さまです。


あのねぇ、昔を振り返ってもしょうがなくない?
絶対に時計は巻き戻せないんだから。


でも彼女達に罪は無い。
彼女達に若さとそれを基準にした美を強要しているのは社会だ。
私たち女性は歳をとるごとに、まるでそこに存在しないかのごとく扱われるようになる。
男性が年齢と共に(外も中も)重んじられるのとは対照的に。
それは本当に辛い仕打ちだ。
だから彼女達が、いや、私達がそれに醜悪なまでにしがみつこうとして、何が間違っている?


せめてその努力が報われますよう。
「妻は、僕の太陽です」