結婚の才能、私は無能

天気の良い祝日に、薄暗い某区文化センターで小倉千加子先生の講演を聴いてきました。
題して「現代の結婚事情」。


面白かったですねぇ。
まだ空気が温まっていないうちは滑舌の悪さの方が気になってしまいましたが、少子化対策政治家の某ゆうこりん先生への軽口辺りから徐々にノリノリに。
本筋とはあんまり関係ないコネタが断然面白くて、ひとつひとつ書いてたら切りがない、さすが小倉千加子


さて講演内容を大筋でまとめるとこういう感じ。


今日問題視されてる日本の少子化の原因は3つである。
その7割を占める最大の要因は、未婚者の増加
残りの3割は高齢結婚、晩婚、それにともなう晩産。(一子化)
そしてもう一つ忘れてはいけないのが、若い人が恋愛をしなくなったこと。
だから必要なのは少子化対策じゃなくて、未婚化対策なんだけど、未婚者に聞くと(どんな統計でも)9割は「いつかは結婚したい」「いい人がいれば結婚したい」って言うんだから、結婚マンセーなんてやったところで無意味。


ちなみに政府が少子化対策の意見募集やらを行なったところ、一番多かったのは「国立の結婚相談所を作ってくれ」という要望だったそうだ(笑)


いいねぇ、「ハローワーク」ならぬ「ハッピーワーク」。
離婚者には6ヶ月間の離婚手当、失恋者には3ヶ月の失恋手当とか。
毎月1回窓口に行って、進捗を報告しなきゃいけないの。
「本気で探してないんじゃないの?」とか小言とか言われながら。


話を講演に戻して。


で、じゃあ何で日本人は恋愛しないのかと言う話。
これは割愛・・・ってもしかしたらここがメインテーマだったのかもしれないんだけど、ロマンチックとロマネスクとか、ちょっと観念的なが多かったので。


で、世界的に見ると、近代化が遅れた日本を筆頭とする東アジア諸国で未婚化が目立つと。
その特殊事情としては、日本では結婚が経済生活と恋愛という、そもそも葛藤する二つの要素を同時に等しく満たそうとするから。
(欧米は恋愛重視。愛と信仰があればうんちゃらってやつですね。)


あと、恋愛が自由市場化したことで、選択肢の幅が広がる→他の人も選択肢の幅が広がる→競争激化→選択されない・・・という循環。(をコメの配給制度から自主流通米への移行に例えて説明。)


で最初の政治の話に戻って、官僚はおそらく将来的には人口は今の半分くらいでいいと考えている。それが日本という国の規模に適正な人口だから。
どうやってその過渡期をうまく乗り切るかというだけ。
だから官僚は「少子化対策」は(本気では)やらない。


こうなったら日本は独自の単身文化をつくっていき、東アジアの先鞭となればいいという〆。


・・・何となく最終的な結論が独身ザンバ〜イ\(^O^)/な気がしちゃったのですが(笑)まぁ小倉千加子だからな。


ゲゲゲの女房」に対する言及が多かったですね。
あれって取り決め婚に近い見合い婚の話ですが、それが恋愛や婚活に疲れてる人には羨ましいと感じるんだそうで。
(理解できない・・・。)
で、そもそも向井理は何故あんないい大学を出てていながら最初バーテンダーになったんだとか(笑)、スマスマに向井が出てたのはもう諦めたのか木村とか・・・(個人的に爆笑)、そこで彼がカレーを所望したせいで自分も朝からカレーが食べたくて仕方なかったとか(要は向井ファンらしい)。


あと「わかるわかる〜」系で言えば、婚活ってある意味自分の鏡に向き合わされることで、でもみんな本当は自分の姿なんて直視したくないんだよね〜という話とか。
女の子は大きな玉に乗りたい訳じゃない、「小さな玉の輿」願望なんだとか。
でもそのごくごく当たり前の条件をあげていくと、該当者が全然いなくなるとか。
でも既婚者には該当者が確かにいるのに、何故か未婚者にはそれがいないんだ?とか。


話を戻すけど、今の子が恋愛しないって本当なのかな?
そもそも恋愛競争というスタートラインに立つ前に、その市場があまりにもコンペティティブに見えて(それを煽ってるのがモテを布教する女性誌)、最初からドロップアウトしちゃう子が多いと。
で、彼女達は何をするかというと、ペットを飼って、手に職をつけて、社会に役立つボランティアをして、夜な夜なBLとか読んで妄想に浸るらしい。


日本は恋愛に対するハードルが高すぎると先生はおっしゃってましたが、それはすっっっっっっごいわかる!
私も若い頃思ってたもん。
アレとかコレとかソレとかいう基準を満たして始めて参戦を許される市場、私なんてとてもおこがましくておこがましくてみたいな。
今になってみれば、恋愛なんてもっと動物的なドロドロしたものだよね、要は盛のついた犬猫と同じじゃん、ってわかるけど、当時はわかんなかったなぁ。
結婚とか何とか考えなくて良かったあの頃、もっと盛っておけば良かったと結構後悔するもん(笑)


小倉氏は少子化、未婚化は止まらない(どころか今後ティッピングポイントに達すると爆発的に増加する)と予言されてましたが、どうなんでしょうね。


個人的には結婚って、できる人やしたい人はすればいいし、しなくても別に責められないし「何かが足りてない」とも思われない、社会になればいいなぁと思います。
小倉氏の恋愛の話の中で、欲望というのは他者の欲望を媒介に運ばれるもの、というようなことを繰り返し述べてて(コジェーヴの欲望論)、つまり結婚というのも「他の人が欲しいというから欲しい」もののひとつですよね、と。
ブランドバッグが欲しいと思う人と思わない人がいるように、結婚もしたい人もいればしたくない人もいて「当然」だという社会だったら、もう少し生きやすいのになぁと思います。
でも今の社会には結婚しないのは「不幸」だと思わせる絶対的な社会通念があって、私自身もそれに縛られてるから苦しい面がある訳で。
(具体的に何が不幸って訳じゃないにも関わらず、何故かものすごい不幸なような気がするっていう・・・相変わらず蒸し返される話で恐縮すが。)


なんてことを考えながら家路に着いたのですが・・・帰り道。
「幸せな結婚と、情熱的な恋愛は一致しないですって。キャハハ、私達、あの時恋愛を捨てて結婚を選んで良かったわ〜」
と大声で騒ぐババアの後ろを歩かされましたとさ、チャンチャン。