ルノワールは無邪気に微笑む

千住博 初版は2006年
こちらは茶化し無しで、備忘録として。

  • 引用1

それは食欲という本能と、自分の好き嫌いという趣味が一致した喜びです。本能と好みが一致するということは、ある意味では肉体と精神の一致です。大げさに言うと、人々はこの一致を求めて生きているのではないでしょうか。

だから恋愛以上の喜びはないし、食欲は性欲の代替に用いられるのだね。

上記続き

さらに、美味しいという体験はもう一つの教訓も残します。その感じが、空腹が満たされると忘れてしまう感覚だ、ということです。つまり「生きていてよかった」という感覚は、続かない瞬間の出来事、というべきことのようです。


P53 おいしい瞬間で計る幸福感

  • 引用2

画家になりたいのなら、何としても舞台に上がり続けることです。
(中略)
芸術とはコミュニケーションの一種ですから、とにかく少しずつでもよくなっていくものです。
私はいくつもの入試審査や展覧会の審査をやって来ましたが、才能は、人前に出される限り、決して埋もれないものです。必ず見出されます。自分はそれでも見出されてない、と感じるひとは、おそらく出品する舞台が間違っているのです。たとえば演歌のコンクールでオペラをやったりしているのではないでしょうか。見抜けるひとがいない世界では仕方ありませんよね。大切なのは自分に対する客観性です。


P87 展覧会で落選の日々

  • 引用3

よく日本でも昔から「田舎の学問より京の昼寝」といいます。その意味でもニューヨークはどうしてもはずせない街なのです。


P175 田舎の学問よりニューヨークの昼寝

私の昼寝も長くなったものだ。