お世辞は案外難しい

他人の仕事を引き継ぐ際など、マニュアル化していないちょっとしたポイントのようなものがある。
だいたい二種類の人間がいて、そこそこ気の利いた人には例えば「このデータをここに貼り付ける」というような説明をする際、「このA2セルから貼り付けたらOK」で済むんだけど、「まずA列からD列までのデータを1行目だけ残して全て削除して、それからA2セルを選択して値貼り付けにする」まで言わないと出来ない人がいる。
で、私は前者タイプ(でも早とちりでおっちょこちょいだが)なので、後者のタイプが苦手。
また自分が引継ぎを受ける際にも、あまりにも手取り足取り説明されると微妙に馬鹿にされてるような気がする(笑)


先日、そんな感じで同僚だけど、年齢や微妙にポジションも下の人からある仕事を引き継いだ際に、上記のような対応をしたところ
「さすがGrrrlyさん、頼りになります〜」
みたいなコトを言われた。


カチーン。


え?
って思うでしょうか。
きっと理解できない人も多いでしょうね。
でも、何となく言いたいこと判ってくれる人もいると思う。


本当に「頼り」になるようなシチュエーション、例えば社内の偉い人ネゴが必要な案件でクチを聞いてもらえるとか、明らかに自分は出来ないけど相手が専門として持っているスキルのような「あなたじゃなきゃ出来ないもの」を頼った場合に、ソレに対して「さすが」みたいなほめ言葉を掛けるのは当然だと思う。


けど、誰でも出来るようなことで、むしろそれを理解しないのって微妙に「使えない」っぽいレッテルになる仕事が出来たからといって
「さすが」
と言われても。
それが自分より「目上」の人間からだったら良いのだ。
なぜならそれは能力に対する「上から目線の」評価であって、その本人が出来るか出来ないかとか、そういう事とは関係ないから。
だけど、下の人間からそれを言われると、明らかにおためごかしだし、そもそも
「もしかして、そんなことも出来ないって思ってたの?」
という、むしろそれを発言した人の本音が透けて見える発言のように思える。
(でもこの本音うんぬんの部分は、私のネガティブな思考のクセなだけかもしれない。)


この同僚は営業出なだけに、こういうミエミエのトークをよくするのだが、それがいちいち私のカンに触る。
要は日常業務において、過剰な形容詞はうっとうしいのだ。


結局言葉の選び方もTPOなんじゃないだろうか。
客先で過剰な形容詞を使って相手を持ち上げるのは当然だけど、社内でむやみやたらとお世辞を振りまいたり、ツートーンくらい高い声で内線の応対をしたり、仕事をお願いするときなどに「申し訳ないです」を何度も連発したり、そういう過剰な丁寧さはホームパーティーにすそを引きずるドレスで参加するようなノリだと思う。



もっとも、部長面談で「君はポーカーフェイスだから、ちょっと話しかけにくいので、もう少しリラックスして」と言われる私もまた、TPOをわきまえないタイプなのかもしれない。
というより、会社のTPOレベルが自分向きじゃないってことなのか。